私はスポーツイベントや大会等を取材する場合、よく体験型のレポートをお勧めします。分かりやすい例で言えば、マラソン大会で“出走取材”でしょうか。これはその名の通り、実際に自らの脚で大会を走り、撮影写真と共にその様子などを記事化する仕事。大会側としては宣伝になりますので、中には取材枠を設けて走らせて下さるケースも少なくありません。
しかしこうしたレポート、
- 募集時期
- 開催直前
また、読み手となる各レースの出場者数も懸念点。
それに対して、当然ながら取材・執筆にはコストが発生します。
「早い段階で多くのアクセスを稼げる記事」
しかし長い目で見れば、
例えば先日開催された『柴又100K』。レース中、驚くほど多くの方々から「ブログ見ました!」と声を掛けられました。最初は何のことやら分からず御礼だけ伝えていたのですが、後から確認してビックリ。昨年書いた大会走破に向けたブログ記事が、ここ数日で驚くほどたくさんの方々に読まれていたのです。よく見てみると、他の出走レポなども同じような現象が起きていました。数年前のレポートでも、大会前になるといきなりアクセス数が急増しています。
しかし周囲の方々、あるいはメディアの担当者からは、よく次のように聞かれることが少なくありません。
「別に体験しなくても、外から見れば書けるんじゃない?」
確かにイベント・大会の全容は、外から見ただけでも書けるでしょう。さらに参加者へ取材すれば、だいたいイメージできます。実際にスポーツ系の取材では、外から撮影し、その様子をまとめたような記事が大半を占めています。しかし“本当の実態”は、やはり実際に体験しなければ分かりません。そしてその実態に基づいた情報こそ、大きな価値を持つものだと考えています。
表面的な情報ではなく、また、個人的な感想でもない。自らが体験して感じた情報を、冷静かつ客観的に記事として書いていくことこそ、読み手がその風景を具体的にイメージできるはず。これはメディアのみならず、大会・イベントの運営側にもお勧めしています。なぜなら、レポートの配信によって、新たなエントリー者の獲得に繋がるから。あるいは参加者にとってレポートが“振り返り”となり、リピーター化も期待できるでしょう。その理由は、レポートを通じて本当の良さ・楽しさが伝わり、「自分も参加してみたい」とワクワクしてくるからです。
例えばマラソン大会なら、私は「100kmまでは完走必須で取材できます」と断言しています。それ以上の場合、DNF地点までのレポートで後に繋げるか、もしくはDNF後に車などで外から取材するか。子供向けイベントや教室などは、自分の子供を連れていき、親目線から取材するようにしています。情報過多となっている今の世の中だからこそ、コンテンツの価値について本質的な部分から考えたい。体験レポートは、私なりにスポーツ経験から導き出した1つの提案です。