大学進学(専門・短大も)に当たって奨学金制度を利用するという方は多いはず。私もその中の1人です。しかし卒業後の返還を巡っては、その負担について何かと話題が挙がります。実際に返還遅滞は数多く起きているようで、特に返還する側から「負担が大きい」という悲鳴が少なくありません。
しかし私個人としては、「借りたものは返す」が当然だと思います。まして奨学金は、自らが学びを得るために借りるもの。別に大学進学は義務ではありませんし、高卒で社会に出てしっかり活躍している方だって山ほどいます。それでも進学を希望し、むしろ奨学金があればこそ大学生活を送れたわけですから、いざ返す段階になって文句を並べるのはおかしな話でしょう。1つ言えるとすれば、借りる段階で学生側に認識が薄いのは課題かもしれません。私自身、確かに返還が始まる前までは、返還負担の大変さなんてさほどイメージできていませんでした。これは制度を提供する側、あるいは両親から、もう少し理解を深める場が設けられると良い気がします。
さて、奨学金の是非については、これ以上語りません。のっけから話が少し逸れてしまいましたが、本題に入ります。このたび奨学金を繰り上げ返済にて返還完了しましたので、ご報告です。
私の借りた奨学金
大学を卒業してから10年強。大学在学中には、社会学部で社会福祉を専攻していました。残念ながら現在福祉職として働いてはおりませんが、たまに仕事でも関連知識を活かせる場面があります。また、これから親が高齢になっていくにつれ、多少なり錆びついた知識・情報を引っ張り出すことがあるでしょう。そういう意味で、私は大学に進学して良かったと思っています。
私の出身地は宮城県。進学先は県外の私立大学でした。諸々の事情から1年浪人しましたが、浪人中は東京都内で新聞奨学生をした経験があります。そのまま、宮城県には戻らず進学したのですが、当時は姉もまた実家を出て私立大学に在学していました。2人の子どもを同時期に私立大学へ進学させ、さらに2人とも一人暮らし…なかなかの負担です。親になった今だからこそ大変さを痛感しますが、改めて両親に感謝しています。
大学進学に当たり、私が利用したのは日本学生支援機構(元・育英会)の奨学金。浪人したという背景もあり、有利子の『第二種奨学金』でした。具体的な金額などは避けますが、改めて見てみると「こんなに借りていたのか…」と驚きます。
奨学金は金利が低いと言われますが、返還時に伴った利息は約0.85%。月賦返還回数は240回ですから、20年かけて返還ということになります。思えば妻は奨学金など利用していませんでしたから、借金持ちと結婚したわけですね…。私は卒業後すぐ結婚していますが、実はこの「奨学金=借金」という認識が薄く、特に何も言わずに結婚したという失敗があります。後になって、口座から引き落とされる奨学金返済を見た妻から怒られましたので、皆さんご注意ください。
これを“繰り上げ返済”を利用させていただき、11月時点で完済させました。
繰り上げ返済した理由
繰り上げ返済には、メリットとデメリットがあります。それでも私が完済させようと考えたのは、自宅を売却して印西市へ引っ越したことがキッカケです。別に金銭的に裕福なわけではなく、ましてフリーランスという不安定な働き方。将来を考えれば“使うより貯めておく”ことにメリットもあります。しかし自宅売却によってローンがなくなり、
「いったん全ての借金をなくそう」
と考えたのです。私の両親も自宅以外は借金しない派でしたが、私もできれば借金は避けたいと思っています。ですから車は一括で変える範疇の中古車(というか新車だと乗らな過ぎてもったいない)ですし、会社でも借入など一切行っていません。
▼関連
自宅を売って千葉県印西市へ引っ越した理由①〜引っ越しの決断〜
自宅を売って千葉県印西市へ引っ越した理由②〜居住地の選択〜
もちろん繰り上げ返済することで、利息分を節約することができます。人生全体で考えれば支出が減るわけですから、「返せるなら返そう」という考えは自然ではないでしょうか。もちろん、それによって家計が火の車…なんてことになると大変ですが、まだ子どもたちも小学生。むしろこれからお金が掛かってきますので、一旦借金などなくし、計画的に貯蓄など行っていこうという結論に達したわけです。
奨学金の返還が完了して、まずは連帯保証人だった父親と保証人だった叔父に報告しました。返ってきたのは、2人とも同じ言葉。
「頑張ったね」
奨学金は、いわば学生時代の名残。なんとなくこの言葉を受けて、やっと本当に親離れできたような気がしています。目に見える変化といえば、毎月口座からの引き落としがなくなることくらい。繰り上げ返済したことが良いのか悪いのかは、正直に言って分かりません、でもなんとなくスッキリして、気持ちは楽になりました。これからは子どもたちの人生のため、さらにしっかり働いて参ります。