いいでしょ?僕の人生

なぜ長男と男会をするのか


不定期ながら我が家の恒例イベント化しているものに、長男ヒロムとの“男会”があります。この男会とは、「長男を外に1人だけ連れだして飲みに行く」というものなのですが、外から見たら子どもを飲み屋へと連れ回すイカレた父親…みたいに思われているかもしれません。

まぁ、誰からどう思われようと、実際のところ構いません。が、中には「それいいね」と言ってくださる方もおり、私が男会を開催している理由を綴っておきます。

■いつも頑張ってくれるお兄ちゃん

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男会を始めたのは、ちょうど長男が小学校へ入学した頃から。つまり、本人的にも“ちょとだけお兄ちゃん”になったタイミングです。自分なりの意見を持ち始め、ちょっと背伸びしたい。でも、なかなか上手くいかない微妙な年頃です。

実際のところ我が家は三人兄弟なので、彼はまさに一番のお兄ちゃん。なんとなく私も嫁も頼ってしまうところがあるし、本人もそれに応えようとしてくれているようです。まだまだ、怒られちゃうことも多い子どもではあるんですけどね。そんな長男の頑張りに対する私なりのご褒美として、“男会”という特別な時間が生まれました。

■素の心が見えなくなってきた

写真 2015-12-02 18 30 55小学校へ入学してからは、どうしても“家にいない時間”が増えました。正直、トラブルを持ち帰ってくることもあるんですが、まぁ…人のことは言えません。でも保育園と比べたら、どうも彼の素の心が見えづらくなったように感じます。

どちらかと言えばママっ子の長男。しかし責任感が強くて変にプライドも高めなので、嫁にはあまり本音を話さない傾向も見て取れました。遠慮しているのか、恥ずかしいと思っているのか。あるいは相手を問わず、強がってしまっているのかもしれません。特に自宅では、お兄ちゃんとして彼なりの立場もあるでしょうから。だからこそ、こちらから心を開いて語ってもらえる時間を作ろうと考えました。

私のビール好きは長男もよく知っているところ。だからこそ、子連れでもビールを飲みます。私自身が、まず時間を忘れるほど解き放たれ、男会という時間を楽しんで見せる。そうすると長男の緊張もほぐれて、何でも話してくれる気がしているんです。上司と部下ではありませんが、改まってしまうと本音なんて出ませんからね。

■父と子しての信頼関係を持つ

写真 2015-12-02 18 46 59恐らく長男の中で、私は怖い存在です。それは別に良いと思っているんですが、“単なる怖い存在”ではよくない。最後は頼れる相手でありたいし、同性だからこそ何でも話せるよき理解者でいたいものです。だから嫁ではなく、私が連れ出しています。

好きなものを、好きなだけ食べながら、「これ美味いね」なんて話でスタート。でもいつの間にか、学校や家でのことを話してくれている。ちゃんと面と向かって話せば、いろんな会話が生まれます。もちろん、すべて本音で話してくれているかは分かりません。でもこうした言葉のキャッチボールが、お互いの信頼関係を築いてくれるのではないでしょうか。

「これ美味しいから、ママにお土産で持ち帰ろう」

なんて言われると、ちょっとだけ嫉妬。でも彼の優しさには、いつも感心させられます。こういう“良いところ”を見つけ、素直に褒めてあげると、少しは私への“怖い”という印象が和らぐのかもしれません。

「正直言って怖いけど、何かあったら話せるし頼れる」

父と子として、そんな関係が作れたら最高です。

■子どもの記憶力は凄い!

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お世辞にも記憶力が良いとはいえない長男ですが、男会での何気ない会話もしっかり覚えています。これって、やっぱり「心を開き、面と向かって話しているから」ではないでしょうか。大勢に向けて放たれた学校での連絡事項や、強制的に覚えさせられる勉強。あるいは、日常生活の中でなんとなく放たれた言葉とは、やはり違うのかもしれません。

「自分と話しているんだ」

と認識しながら、楽しい時間の中で繰り広げられる会話。楽しいからこそ、その言葉一つ一つに興味が持てるのではないでしょうか。そして興味があるから、ちゃんと覚えてくれている。このヒントは、男会だけでなく日々の生活にも応用していきたいものです。

これが、次男ではなかなか難しい。もうすぐ5歳になるとはいえ、残念ながら“会話”まで至らずに終わってしまいます。それでも次男は「僕も行きたいな」と思っていることでしょう。でも、今はお兄ちゃんを優先…小学生になったら、仲間入りかな。2人分しっかり稼がないとね。

自宅には狭い空間に5人。一人ひとりとしっかり話す機会は、あまり持てる環境ではありません。たまに買い物がてら散歩に連れ出すことはあっても、それはほんの僅かな時間。家族みんなの時間と同様に、1人1人との時間も大切だと思うんです。

何気なく2人で外へ出て、「何食べようか〜」なんて話しながらお店を探す。「あそこ、いいんじゃない?」という長男の一言で、家族では入らないような居酒屋の暖簾をくぐる。そして、帰りは会話を振り返りつつ、「また行こうね」なんて言葉を交わします。そうしたとりとめのない男会という時間が、私たちにとってはとても大切なのです。