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【ニュース】小中学生の2.8%が「フリーランス」になりたい!?アデコが調査結果を発表


毎年のように目にする「将来どんな仕事に就きたいか」のランキング。これを見るたび、私は自分が子供の頃、何になりたかったんだっけ…と思い返します。まぁ、間違いなく今の働き方なんてイメージしていなかったので、人生何が起きるか分かりませんね。

一昨日、人材サービス企業のアデコ株式会社が、「将来就きたい仕事」についてアンケート調査の結果を発表(正式発表リリースはこちら)しました。調査では日本全国の小・中学生1,000人が対象にされています。発表が行われたこと自体には、やはり驚くこともありません。しかしその中身については、ちょっと見過ごせない内容が。なんと男女合わせて2.8%が『自営業・個人事業主・フリーランス』(以下、フリーランス)と回答し、7位にランクインしたのです。

TOP1はやはり安定の会社員だったわけですが、自宅では小学生、部活動では中学生と関わる身として、これは見逃せない結果。完全な推察になりますが、この結果を少し自分なりに紐解いてみたいと思います。

■イメージだけが独り歩きしていないか

私自身を含めて、フリーランスとして働く人はどんどん増えています。しかし全体で見れば少数に過ぎず、「フリーランスワーカーが身近にいる」という小中学生は、そこまで多くないはずです。大人でさえ“フリーランス”という言葉は知っていても、その実態まで理解している方は少ないことでしょう。

そのため、このアンケート調査で『フリーランス』と回答した小中学生は、まさにイメージだけで選んでいるのだと思います。もちろん多職種にしても実体験がないのでイメージに過ぎないのですが、“身近さ”で考えるとレベルが違うでしょう。だって、例えば医者は病院で接しているし、パティシエも美味しいケーキを食べて「こんなケーキを作れるようになりたい」と憧れる機会はたくさんありますから。

そういう意味でいうと、私の勝手な想像では「身近な存在ほどランクインしやすい」と考えていました。でも、小中学生って、どこでフリーランスに出会うのでしょうか?カフェに行けば意識高い系な方々がノーパソ開いてカタカタやっていますが、小中学生が頻繁に入るような場所ではありません。なので、そもそもイメージを具体化させるモトが無いわけで、そのイメージは実態に沿わず、小中学生の素敵な想像力によって生み出された“キラキラ輝く憧れ像”なのでは…なんて思うのです。

これは、正直に言ってとても危うい。

一生懸命に小中学生くらい純粋に想像してみたら、とにかく「好きに働いている」「自由に働いている」「カッコイイ」みたいなイメージばかりが出てきます。もちろんどの仕事もプラスイメージばかりだからこそランクインするわけですが、

「僕・私はフリーランスで生きていくから・・・」

と、協調性とか忍耐力、その他いろんな“イメージからは不要だと思われるもの”が度外視されてしまうのではないかと。そして、向いているのか否かも分からないのに、最初から雇用という働き方を選択肢にすら入れない人が出てしまわないかと。

つまり、安易な想像下において憧れがあまりに強くなっては、子どもたち自身の将来が崩れてしまう気がするのです。もちろん、ちょっと考え過ぎかもしれません。でも、もし自分の子供が開口一番「フリーランスに、俺はなる!」なんて言い出したら、「まずはちょっと落ち着こうぜ」となりますから。この気持ちは、ちょっとお分かり頂けるのではないでしょうか。

■親が反面教師になっているのでは?

子供は親の背中を見て育つ。よく言われますが、これは確かにそうだと思います。特に仕事について考えるとき、やはりもっとも身近なモデルや親でしょう。

働き方という括りで考えれば、やはり会社員が一番多い。私の父親もそうですし、ご近所さんだって多くは会社員です。だからこそTOP1には会社員が挙がりやすいという側面も感じるのですが、これが、逆にフリーランスという選択を後押ししているのかもしれません。つまり、親を見て「こうはなりたくない」…と。フリーランスは会社員の対義語のように使われる側面があり、結果、フリーランスを選択する形になっているのではないでしょうか。

  • なんだか毎日疲れている
  • 家でも仕事の愚痴ばかり
  • 休日は引きこもってゴロゴロ
  • 「忙しい」「大変だ」とよく口にしている

などなど。子どもは純粋ですから、そういう姿を見ると「会社員って大変なんだ。なりたくないな」という結論はすぐに導き出されます。

働き方を問わず、仕事はやはり大変です。嫌なことだってありますし、ストレスが溜まればため息も出るでしょう。ですから、無理に子どもの前でイキイキして見せる必要なんてないと思います。でも、できれば親として、“働く”こと自体に明るい未来をイメージしてもらえるような姿でいたい。そして「自分は今の働き方が好きだけど、選択肢はいっぱいあるんだよ」と教えてあげられたら、もっと将来に向けて夢が広がるのではないでしょうか。反面教師になるのではなく、教師でありたいなと思うわけです。

■働き方が変わっていく

先日、新たに『プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会』が立ち上がりました。設立後3日で、メルマガ会員は1,500名を超えたそうです。さらにちょうど昨日参加させて頂いたのですが、フリーランス同士が集結して仕事のマッチングを生み出そうという『FreelanceNow』という団体も誕生しています。政府の取り組む“働き方革命”はもちろん、人々の働き方はどんどん変わっていくでしょう。

それは、ただフリーランスが増えるということではありません。恐らく企業内でも、在宅ワークや勤務形態の選択性、副業・複業解禁、もちろんフレックス制などを含めてさまざまな働き方が生み出されるはず。そこに、フリーランスという選択肢が加わってきたに過ぎません。

いずれも土台にあるのは、「誰もが笑顔で、自分らしく働ける社会が実現すること」ではないかと思います。簡単に表すなら適材適所。自分がもっとも笑顔で輝ける場所に身を投じれるようになれば、子どもたちにとってどんな仕事も甲乙つけがたい“憧れの仕事”になる。だから、自分が大人になったとき、同じように輝けるよう頑張れる。

まずは私たち大人が、笑顔であれる仕事・働き方を見つけ、実現させていきたいものです。