いいでしょ?僕の人生

【ニュース】弘兼憲史氏、雑誌「SAPIO」でイクメン批判


■それぞれの優先順位

時代と共に、仕事や家庭に対する人々の考え方は変わっている。昔のことなど知らないが、少なくとも「男は働くもの、女は家庭を守るもの」なんて現代には合わない。そのことを、会社はしっかり理解しておくことが大切だ。

私は仕事について、人生を構成する要素の1つに過ぎない。その他にも家庭や趣味など、さまざまな要素で成り立っている。しかし残念ながら、1日は24時間、1年は365日で変わらない。そして時間内に“何ができるか”は、人によって異なるだろう。

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私はよく妻が三男を連れて出かけたときに、男メシを長男&次男に食べさせる。これが大好評。

 

そこで人々は、優先順位を考える。いわゆる“イクメン”は、そのうえで子育ての優先度を上に持ってきた人たちといえるだろう。もちろん、逆に「何より仕事第一」という人だっているはずだ。誰一人として同じ人間などいないのだから、誰にでも仕事を第一に考えろという方が無理な相談である。

もちろん社員はいくら家庭優先であっても、仕事に手を抜いてはいけない。そこは、やはり対等な関係である。仕事中はそこに全力を注ぐし、パフォーマンスを上げる努力にも取り組んだ方が良いだろう。それは、自分が家庭を優先させたいという思いを、会社や上司から認めてもらうことにも繋がるはずだ。お互いの理解がなくては、働きやすい環境は得られない。

こうした背景から、私は社員に対して働き方を“選べる”ように整備することをおすすめする。勤務時間はもちろん、今や在宅でのリモートワークだって難しくない。もちろん拘束時間や課される責任、求められる業務対応などによって、給与は異なって良い。社員がそれぞれ自ら働き方を選び、その中で責任を果たしつつ、自身の優先順位に沿って働きやすさを実現させていけたら、子育ても仕事ももっと楽しくなるのではないだろうか。

■母親の負担

最後に、母親の目線からもこの話題に触れておきたい。

多くの母親は、「しっかり仕事して稼いで欲しい」「出来れば子育ても手伝って欲しい」という2つの考えに揺れることだろう。家庭を保つためにお金は必要だし、とはいえ子育ては簡単ではない。特に初めての子供ならば、孤軍奮闘では精神的負担が大きいはずだ。

最初に記事のポイントとして「学校イベントへの参加が母親の自己満足」と書いた。しかし、自己満足だって“満足”には変わりない。母親がそれによって満足し、子育てに抱える負担が少しでも軽減できるのであれば、父親が学校イベントへ参加する価値は十分だ。たとえ子供が喜ばなくたって、参加した甲斐があるというものだろう。そして父親にとっても、子供の成長を見られる機会は大切である。

子育ての方法は、家庭によって異なる。私の周りにも父親の育児参加を求める母親がいる一方で、仕事して稼いでくれれば家事育児は任せろという母親もいる。しかし夫婦とは、やはりお互いを支えあう関係にあるのだろう。夫が仕事に疲れ果てていれば妻がそれを支え、妻が家事育児に疲れ果てていれば夫がそれを支える。

家庭内に問題を抱えれば、仕事にも影響は出るかもしれない。子供のいる家庭において、「夫が子育てに参加しない」ことはその引き金となり得る。共働き家庭であれば尚更だ。では仕事とは、家庭環境を壊してまでやるべきことなのか?それを会社は求めて良いものなのか?

誤解を恐れずに言うが、子育ては楽しい。もちろん大変なこともあり、ときに悩んだり、怒りを感じることだってある。それでも子育ては楽しいし、すべての父親・母親にも楽しんでもらいたい。そのため、自分なりに「子育てする母親が父親に何を求めているのか」を考えてみた。

  • 子育てから開放される時間を持ちたい
  • 母親ではなく女性としても輝きたい
  • さまざまな経験や感情を共有したい
  • 子供の成長を一緒に感じていたい
  • 苦労や悩みに対する理解がほしい

女性から見て的外れだったら申し訳ないが、1つくらい当てはまっているのではないだろうか。しかしよく考えれば、どれも男性の姿勢によって叶えられるものばかりだ。

妻だって、夫が仕事で大変なことくらい分かっている。何も多くを望むわけではなく、ちょっとの支えが欲しいだけなのだ。その証拠に、実のところ妻から「子育てを手伝って欲しい」といった要望が出ることは少ないのではないか。ちょっとした頼み事ならば数多くあるが、私自身、こうした声を聞いたことはほとんどない。それは妻が大変ながら夫を理解し、我慢しているからかもしれない。そしてこうした発言が飛び出したら、それは妻からの緊急信号なのだろう。

こうした緊急信号も、一部では「甘い」とお叱りを受けることなのかもしれない。しかし子育て環境も変化しており、辛いものは辛いのだ。自己満足だって何だって、母親にも精神的なゆとりは必要なのではないか。妻が笑顔で子育てしていれば、夫も安心して働ける。そして夫婦に笑顔があればこそ、子供もまた笑顔で育ってくれるものだろう。

イクメンなんて言葉があるから、おかしなことになるのかもしれない。そもそも子育てとは、夫婦が協力して取り組むものである。その程度こそ夫婦の考え方によって違うが、まるで「子育てしない男性が通常」のようにイクメンなどと特別視されるのは、いかがなものなのか。よく子育てを“手伝う”なんて言うが、この時点で子育てを「本来やる必要のないこと」あるいは「他の人がやるべきこと」と捉えている証拠だろう。

今回のニュース、皆さんはどのような意見をお持ちになるだろうか。子育てに関する考え方は多様であり、賛成・批判それぞれ生まれるのは当然のこと。大切なのは自分、あるいは自身の家庭にとって最適な子育てのあり方を持ち、過ごしていくことなのかもしれない。