いいでしょ?僕の人生

【ニュース】弘兼憲史氏、雑誌「SAPIO」でイクメン批判


雑誌「SAPIO」の2月号に掲載された弘兼憲史氏のコラムが、男性の子育てを巡って大きな波紋を呼んでいる。弘兼氏といえば、漫画『島耕作』シリーズで有名。コラムでは「育児に熱心な男は出世しない」と題して、いわゆるイクメンを批判する内容が展開されているようだ。

何が問題となっているのか。簡単にまとめると、次の3点に集約されるだろう。

  1. 緊急会議より家庭を優先する人に仕事は任せられない
  2. 給与をもらっているのなら仕事優先で当然
  3. 学校イベント参加は子供の望みではなく母親の自己満足

私はどちらかといえば、家庭優先で働いている(つもり)。一般の会社員と比べれば家にいる時間は長いし、子供たちとも多く過ごしている。しかし会社員の頃は、夜遅くまで会議に参加していたし、休日出勤することもあった。本件は、子育てや仕事に対する考え方によって意見が分かれて当然だろう。その前提で、あくまで個人的に感じたことを綴っておきたい。

■会社が社員に向き合う必要性

会社と社員の関係について、私は対等だと思っている。この記事では「給与を支払っているのだから」というニュアンスの内容が書かれているが、例示されている緊急会議は時間外。つまり決められた時間は働いており、給与に対する労働提供は完遂されているわけだ。“みなし残業”みたいな良くわからないものが給与に含まれていたとしても、残業は強制されるべきものではない。もちろん業務責任を果たすことは大切だが、それ以上の労働は任意なはずだ。

もちろん社員だって、できることなら企業に貢献したい気持ちはあるだろう。そう思われていない企業は、そもそも企業としての魅力について見なおした方が良い。その上で、家庭の用事は前々から決まっていたこと。両者を天秤に掛ければ、『先に決まっていた用事』を優先させることに何の落ち度があるのか分からない。仕事にせよ家庭にせよ、簡単に約束事を破るような人にこそ仕事を任せようとは思わないのだが、どうだろうか。

では逆に、会社は社員に対してどんな考えを持っているか。前述した3つの点からは、どうも社員を下に見ているような気がしてならない。社員は時間を割いて労働を提供し、これに対して会社は対価(=給与)を支払う。労働によって得られる効果・成果が大きくなれば、それは評価によって対価に反映される。この関係下において、会社は多くを求め過ぎではないか。

もっと会社は社員と向き合い、尊重する必要がある。相互の理解があってこそ、会社は成長していけるからだ。家庭を大切にする社員は、つまり家庭での時間を持てることが大きなモチベーションになっているのだろう。それを妨げられることは、不満やストレスしか生まない。

もちろん会社として、仕事を優先してほしい思いも分かる。場合によって、その社員がいなければ成り立たない事態もあるだろう。それが社員にしっかり伝わっているのかどうかも重要だ。社員と会社とが良い関係を築いており、そのうえで家庭より優先すべきと納得できる事態なのであれば、例えば次のように社員側からも譲歩意見が挙がりそうなものだ。

「30分なら大丈夫です」

「会議後は残れませんが良いですか」

「ちょっと先に家へ電話させてください」

そもそも緊急に会議を開かざるをえない状態になった要因は、誰にあるのか。本人の失態によるものならば別かもしれないが、それでなければ「なんで残らなきゃいけないの?」と思われるのも当然に感じられる。

■「任せられない」ことも実際

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しかし仕事を任せる側の立場から見れば、家庭優先の社員に仕事を任せられないことも理解できる。特に新規事業の立ち上げや上場準備、あるいは社運をかけるような大規模プロジェクトなど。突発的な事態が起きる可能性が高く、また通常以上に多くのパワーを必要とするケースだ。メンバー1人1人に当事者として責任があり、そのパワーが欠ければ進行にも大きな影響が出るだろう。

こうした場合、何が起きても家庭優先では困ってしまう。もちろん家庭を大切にする気持ちは素晴らしいが、責任を果たすことは優先されるだろう。ときには、緊急会議で家庭より仕事を優先した残業だって必要になるかもしれない。

このことは、社員側が理解しておく必要があるだろう。責任ある仕事を任されたいのであれば、ある程度は仕事にも融通が効かせられることが求められる。そこにはもちろん、家庭内での協力も大切だ。