東京都目黒区で、5歳の女の子が死亡するという悲しい事件が起こりました。詳細は警視庁による調査中ですが、死亡原因は両親による虐待とのこと。すでに両親とも容疑を認めており、暴力のほか十分な食事が与えられなかったなど、実態が少しずつ明らかになっているようです。
さらに各種メディアでも公開されている死亡した女の子の残した手書きのノートには、次のような切ないメッセージが書かれていたと言います。
もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんから
きょうよりはもっともっとあしたはできるようにするから
もうおねがいゆるしてください おねがいしますほんとうにもうおなじことはしません ゆるして
きのうぜんぜんできてなかったこと
これまでまいにちしてきたこと なおしますあそぶってあほみたいだから
ぜったいぜったいやらないから やくそくします
このメッセージを、いったい5歳の子供がどんな思いで綴ったのか。両親に対する恐怖、虐待という状況から抜け出したい思いの裏に、やはり「愛してほしい」という親への願いがあったのではないでしょうか。事件に関しては各種メディアがさまざまに取り扱っておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。
▼参考
・死亡の5歳、ノートに「おねがいゆるして」両親虐待容疑(朝日新聞デジタル)
・5歳女児虐待死 逮捕の母「見て見ぬふりを…」(FNN PRIME)
私も4人の子を持つ親です。子育ては決して一筋縄ではいかない大変なことですし、第一子が産まれた際などは「ちゃんと育てられるだろうか」と不安もありました。子育て疲れはもちろん、仕事その他さまざまな環境下でストレスが溜まり、つい子供を強く叱ってしまったこともあります。それでも何とか笑顔で毎日を過ごせているのは、親子、あるいは家族間における愛情があればこそなのでしょう。
しかしこの愛情に何らかの亀裂が生じることで、虐待というあってはならない事件が起きてしまうのかもしれません。周囲で虐待が起きたことがないので何とも言えませんが、ただ愛情が失われて子供への関心が希薄になるというだけでなく、愛情がありながらも抑えきれない気持ち(ストレス 等)が爆発し、子供に向けられてしまう…ということも虐待の原因なのではないでしょうか。それであれば子供と共に、親もまた支えが必要なのだと思います。
これは私の拙い知識ですので誤りがあるかもしれませんが、現状、虐待などが起きた場合の調査・保護は“事後”であることがほとんどでしょう。虐待が起き、周囲から見ても「何かおかしい」と感じられるような状況になって、初めて調査などが行われます。そして調査を行ったとしても実態が掴みきれず、結局、両親側の「虐待はしていない」と言った言葉で引き下がらざるを得ないということお多いのではないでしょうか。そして保護などに至るまでには既に事態が悪化しており、最悪の場合、今回のように保護すらできず死亡という結果になってしまう。そう考えると、そもそも調査・保護の制度や体制などを根本的に見直さなければ、同様の事件は後を絶たないのかもしれません。
あるいは、もっと早く。何らかの要因で親が虐待という行為に及んでしまう前に、親が駆け込める場所、手を差し伸べてあげられる人がいればどうか。今回亡くなった女の子は再婚に伴う母親側の連れ子だったようですが、再婚では「愛情を持って接しようと意思を持って再婚したものの、やはり他人の子という意識があり100%の愛情を注げない」ということがあるのかもしれません。それならば、結婚前に愛情を育むためのサポートがあればどうなのか。または結婚後、虐待に及ぶ以前にはけ口となれる相談相手がいたり、一時的に子供を預かって子育てから開放してあげたり。あるいは、例えば仕事や収入が原因であれば転職や働き方の見直しを支援してあげるなど、虐待に繋がる“原因”を取り除くことはできないのか。
子育ては長く続きます。子育てという話題では産後ケアや育休取得などがよく話題になりますが、大変なのは産まれたてだけではありません。保活失敗、保育園・幼稚園・学校でのママ友との人間関係、勉強の伸び悩み、トラブルでの呼び出し…。成長と共に子供・親を取り巻く環境が変わり、次々と色んな事態が起こります。そのタイミングによって、必要とされる支えは異なってくるでしょう。すでに起きている虐待等の事態を解決することはもちろん、やはりそれ以前の段階で“未然に防ぐ”ことが必要だと思います。
今回亡くなった女の子は、本当に救うことができなかったのか。まずは徹底的に考え、行動していくことが大切ではないでしょうか。社会全体が子供を大切なものとして育て、支え合えるように。子育ては親によるものですが、“社会として子育てする”という意識から考える必要があるのかもしれません。
では、そんなことを言っている私に何ができるのか。まず自分の子供を精一杯の愛情を持って育てていくこと。そして手の届く範囲から、少しでも辛さや苦しみを抱えている方に対して手を差し伸べていくこと。現時点ではそういう小さなことしか思いつきませんが、その思いつきを行動に繋げていくことが大切なのだと思います。少しでも子供たちの笑顔が増え、悲しむ姿が減るように。