ダイエットや体質改善について調べると、よく「MCTオイル(中鎖脂肪酸)」という言葉を目にします。私は4年以上にわたってMCTオイルを摂取してきました。当初は体質改善を目的としていたのですが、継続する中で頭に浮かんできた一つの気づき。それが、「実はマラソンのような持久系スポーツにも効果的なのでは」というものです。なぜそう感じているのか、MCTオイルを使用しながら年間何本もマラソン等の競技に出場してきた実体験から、そのメリットや効果について考察してみます。
カーボローディングは必要か?
マラソンやトライアスロンなどの持久系スポーツでは、よく「カーボローディング」が行われます。これは運動時のエネルギー源となるグリコーゲンを蓄積しておくことで、レース中に起こるガス欠を防ぐもの。確かにエネルギーが枯渇すればパフォーマンスに影響が出ますし、有用な方法と言えるでしょう。私自身、以前はカーボローディングを行っていたことがありました。また、いわゆるガス欠も何度か経験したことがあり、エネルギーの重要性は痛感しています。
しかしこのカーボローディングは、その人あるいは取り組み方によって逆効果となる場合があるかもしれません。例えば食べ物を消化し切れず、当日に腹痛を起こしてしまう。あるいは身体が重く感じ、かえってパフォーマンスを低下させてしまう。いきなり普段とちがう食事の量・内容になるため、身体が受け付けず不調の原因になることも考えられるでしょう。カーボローディングが100%の原因とは言い切れませんが、これらはいずれも私自身が経験したことです。食べ過ぎてずっとお腹が重く、走っている最中に腹痛となり、フルマラソンの大会で何度もトイレに駆け込む…なんていう苦い思い出もあります。
カーボローディングは本来、ある程度の期間をかけて計画的に行うもの。例えば単純に「前日に炭水化物を多めに食べれば良い」わけではありません。食べるものやタイミングも重要ですし、数日前から食事内容をコントロールすることが必要です。これは、スポーツを趣味等で楽しむ一般の方にとって容易な方法ではないでしょう。
私はこのカーボローディングを、MCTオイルを利用するようになって行わなくなりました。なぜなら、MCTオイルの方が運動時のエネルギー補給を考えたとき、より効率的だと思えてきたからです。
MCTオイルが持久系スポーツにもたらすメリット
確かに糖質は三大栄養素に含まれ、運動時にエネルギー源となります。しかし脂質と比べると、少量しか体内に貯蔵することができません。そのため、例えばフルマラソンを走破しようと考えた場合、体内に貯蔵した糖質のみでは不十分でしょう。こうした背景から、マラソン大会では多くのランナーが、途中のエネルギー補給用にジェルなどを持っています。
また、大会側でもエイドステーションで、糖質の含まれるドリンクや食べ物を提供することが少なくありません。しかし、ここで糖質ではなく脂質をエネルギーとして活用できれば、より効率的に走り続けられるのではないか。この発想が、MCTを積極的に摂取するようになったキッカケでした。
とはいえ、どんな脂質でも取り入れれば良いというものではありません。日頃から食事に使用する油などは気を付けていましたが、調べる中で目に付いたのがMCTオイル。MCTは体内に脂肪として蓄積しにくいという特徴を持ちます。さらに摂取することでミトコンドリアが増加、これによって効率的な脂肪燃焼にも繋がるとのこと。つまり素早くエネルギーとして消費されるため、運動に適していると考えました。特に中~高強度の運動を長時間において持続するには、MCTをエネルギー補給に活用するのが良いかもしれない。
そこで私は毎日、朝食にMCTオイルを加えたバターコーヒーを飲むようになりました。加えて負荷の高いトレーニング、あるいはレース出走時にも少し前にMCTを補給。これが全ての要因とまでは言い切れませんが、実際に以後で以下のような変化が見られました。
- フルマラソンは補給無しで余裕の完走(ジェルなどの持参は不要)
- ウルトラマラソンでも補給頻度が減少(40~50kmに1回エイドでの補給のみ)
また、日常生活でも空腹を感じることが減ったように感じます。加えていわゆる“お通じ”も良くなり、体重なども意識せず維持できるようになりました。もしかしたら、腸活にも繋がっているのかもしれません。この点ではスポーツだけでなく、やはりダイエットや体質改善などにも有効だと言えそうです。ただし摂り過ぎは避けるべきですし、水分や食物繊維などが不足するとかえって便秘がちになる気もするので注意してください。
食事の栄養バランスを前提として+αのエネルギー源に
MCTオイルやサプリメントなど、健康補助やスポーツ時のパフォーマンスアップに効果的とされるものはたくさんあります。しかしいずれも、やはり根底的には日々の食事による栄養バランスが大切です。例えばコロナ禍で注目されている“免疫力”も、食生活が乱れていたり必要な栄養素が不足していたりすれば低下してしまうでしょう。まずは食生活を基本とし、そのうえで運動時の功利的なエネルギー源として、ご興味のある方はMCTを試してみてください。