いいでしょ?僕の人生

クラウドソーシングでプロに活躍してもらうための課題を考えてみる

先日、クラウドソーシング大手であるランサーズ社が、実名制サービスへの取り組み強化を発表しました。詳しくは以下に秋好社長へのインタビュー記事が掲載されていますので、ご興味のある方はご覧ください。

▼ランサーズが脱クラウドソーシング宣言、実名制で単価上げる
https://www.businessinsider.jp/post-104643

個人的に方針そのものはとても賛成です。プロのフリーランスとして活動する中の1人として、ぜひ“プロがプロとして評価される”社会を実現させていただきたい。それでこそ私の望む自由な働き方・生き方が実現できるものと思っていますので、心から応援しています。

ただしランサーズに限らず、これまでも各クラウドソーシング企業はさまざまな手を打ってきました。今回のように「高スキル人材がちゃんと認められる」といったもので言うと、複数サービスで導入されている“認定制度”でしょうか。

私はランサーズに限らず、2010年頃からクラウドソーシングを利用してきました。その中で、こうした“評価”という視点では課題の多さを感じずにいられません。実名制の是非についてここで深く触れることはしませんが、少し「クラウドソーシングでプロが活躍する」ことの課題について、この認定制度を挙げつつ自分なりの考えを述べておきたいと思います。

■認定制度は必ずしもプロを評価しているものではない

クラウドソーシングの多くは認定制度を設けており、一定基準を上回る登録者を“プロフェッショナル”という位置付けで取り上げています。登録者の中にはこれを1つのステータスと考え、認定されるとSNS等に喜びの声を投稿するようなケースも少なくありません。確かに、その他多数の登録者と自身とを“サービス上で”差別化できるので、自身にとってメリットはあるでしょう

ただ、この制度には根本的な課題があると思っています。それは、まず評価のもととなる情報が“同サービス内での実績”に限られたものである点。そして、その情報はあくまで報酬額やレスポンス、クライアント評価といった表面的なものであり、実質的なスキルまで評価し切れていないことです。細かな基準はサービス毎に異なると思われるため、ここでは共通しそうな事項のみにスポットを当てて考えていきます。

まずクライアントからの評価について、必ずしもその登録者を正しく評価したものとは言えないでしょう。登録者側もまたクライアントを評価できるのですが、もしも相手に悪い評価を付けられたら、心情的にこちらも良い評価は付けたくないと思うもの。そのため、どんな場合でも好評価が付けられる、あるいは評価しない(自動的に高い評価となる)ケースが少なくありません。

また、報酬額も基準に盛り込むことに疑問が残ります。例えば低単価な案件でも、数を重ねれば報酬が膨らんでいきます。すると、どうしても登録の古いユーザーが認定されやすくなるでしょう。「古いユーザー=経験値がある」と思われがちですが、フリーランスとして経験を積める場はクラウドソーシングだけではありません。ハイスキル人材でも、登録当初は報酬額・評価ともにゼロの状態。こうして売れているプロの登録者が、実のところ多いような気がします。

もちろんプロ向けの案件は、それだけ難易度とともに報酬も高くなります。低単価な案件で積み重ねるより、早く基準額に到達できることでしょう。しかし私の考えでは、本当にハイスキルな人材の多くは、クラウドソーシング以外でも仕事を受けているはず。むしろそちらがメインで、空いた時間にできる仕事を求めて登録していた…といった方が少なくないと思います。すると、その人が認定を受けるまでには、結構な時間を要します。さらに後述しますが、そうした“クラウドソーシング以外でも仕事を獲得できている人”について言うと、もう1つ大きな問題が挙げられるのです。

■サービスを利用しないと認定から除外される

サービス毎に違いはあるものの、例えば一度認定されても、しばらく同サービスを使用しないと除外されるケースが多いようです。サービス提供者側から言えば、やはり認定されるような方には、継続的にサービスを利用されてこそ利益があがるもの。また、使用停止している方がそのまま残れば、いずれ認定者だらけになってしまうかもしれません。これは確かに理解できますが、それによって認定制度の信ぴょう性が低くなってしまわないでしょうか。

少し言い方はキツいですが、つまりこれは「プロフェッショナルでも利用頻度が低い人は認めない!」ということ。余談ですが、私も過去に大手クラウドソーシングサービスで認定を受けたことがあるものの、今は除外されています。報酬額や評価は不変ですから、やはり利用頻度が除外の理由なのでしょう。ちなみに私の利用頻度が下がったのは、主に以下のような理由です。

もちろんクラウドソーシングというサービスが嫌いになったわけではなく、今でもお声掛けは歓迎です。しかしそうした声がけも、まだまだ“未経験者歓迎”をはじめ、とてもプロとして受けることのできないものばかり…。探せばあると思いつつ、クラウドソーシング以外からたくさんご依頼を頂けている状況では、やはり「よし、探すか!」とはならないのが正直なところです。

私がクラウドソーシングを利用したばかりの頃は、フリーランスそのものの人口が今ほど多くありませんでした。同様に案件数も少なかったのですが、質という意味ではプロとして活動するうえで決して「低すぎる」と言われるレベルではなかったように記憶しています。しかし時代の変化とともに課題が増え、本当にプロが活用するサービスとして価値の高いものかと言われれば、そうとは言えない状況に陥っているのかもしれません。

少し話が逸れましたが、せっかく認定を受けるほど報酬を得て評価されても、使用しなくなると除外される。これは、なかなか大きな問題点ではないかと思うのです。なぜなら、本当にハイスキルで認定を受けるほどの方なら実績も多く、「クラウドソーシング以外でも仕事を得ていきたい」と考えるのは必然だと思うから。あるいはホームページなどを持ち、クラウドソーシングにおける実績・経験を土台にして、クライアント側から依頼の打診が得られるようになるのではないでしょうか。むしろ現状維持、あるいは無理なく空き時間でお小遣い程度を稼げたら良い…といった方が、わざわざ外に手を広げず居残るような気がします。あくまで主観的な意見ですので、気分を害された方がいらっしゃれば申し訳ございません。

もちろん認定されているか否かに限らず、クラウドソーシング利用者にはハイスキル人材だってたくさんいると思います。コアなクライアントとの出会いを得て、クラウドソーシングのみで十分に生活できている方はいることでしょう。しかし実態として、それはやはり少数なはず。クラウドソーシングでプロとして経験・スキルを磨いた人が、必ずしも以後もそこで活躍し続けるとは限りません。少なくとも、私の周囲にはそういった方が多いようです。

また、実際に私はクライアントから依頼を受けて、クラウドソーシングでの発注・管理を代行することがあります。その際に認定者へ依頼したことが何度かありますが、そのスキルはとてもバラバラだなという印象です。むしろ過去の案件数があまりに多い方は、認定されていたとしてスキルが低いという事態もありました。そうした経験から、「認定者=プロフェッショナル」という取り上げ方は、やはり少々ズレがあるように思えます。恐らく認定者の中にも、さらにいくつもの階層ができてしまっているのでしょう。

ちなみに、これはあくまでライターに限ったお話。それ以外の職種は私自身が経験・知識を持ちませんから、触れておりません…あしからず。

■「誰が、どう評価するのか」が重要ポイント

ここまで自分なりの課題点を述べてきましたが、冒頭の通り「プロがプロとして評価される社会」は大歓迎です。では、そのために何が必要なのか。まずクラウドソーシングがフリーランスの土壌として根付いた現状では、プロの集まるプラットフォームを別のものとして設ける必要があるでしょう。しかし、ただ「プロはこっちね」と集めたところで、結局のところ少しずつレベルが下がってしまう懸念があります。それは、これまでの流れでは評価が曖昧だからです。

いったい誰が、どんな情報をもとに、どういう基準で評価するのか?

これが、やはりもっとも重要なポイントになるのではないでしょうか。数字的・表面的な情報であれば、フリーランス未経験者あるいはコンピューターでもフィルタリングできます。しかし、例えば成果物を見てその良し悪しを判断したり、単純な経験年数に縛られずビジネススキルから業務スキルまでを正しく評価するには、やはり“プロの目線”が求められるでしょう。

フリーランスが自分自身の価値を高め、自分らしい幸せな働き方を実現していくこと。そしてクライアント側にとっては、ミスマッチなく自社の求めるプロフェッショナルと出会えること。クラウドソーシングに限らず、インターネットを軸としてさまざまなサービスが登場しています。今後の展開に期待すると共に、私自身もプロフェッショナルとして認めて頂けるよう、より自己研鑽に励まなければと思います。

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