いいでしょ?僕の人生

それでもフリーランスで生きていく!ネットで話題のTweetについて考えてみた


先日ある企業の方とのFacebookメッセージで、自分が完全フリーランス(と言いつつ法人も経営してるけど…)として独立してから5年半以上が経っていることに気づきました。フリーライターとしての仕事は学生時代から取り組んでいるので10年半強。そのタイミングになれば「そうか」と意識するんですが、早いものです。

最近はフリーランスという言葉が世間的にも広く知られ(良い意味でも悪い意味でも)、それ故になんだか古株のような扱いを受けることも。特にクラウドソーシングというサービスはまだまだ新しく、初期から利用していた私は昨年の「Lancer of the year2015」で“ベテランサー賞”を頂戴しました。

ただ、昔から“フリーランス”という働き方はあったわけで、私自身とすれば、まだまだヒヨっ子です。そんなヒヨっ子が語るのもおこがましいのですが、今日はちょっと仕事に絡んだお話を。どうやら“働き方”に関心のある方々の中で、こちらのTweetがちょっとした話題を生んでいるようです。このブログを書いている時点で、「Retweet 1,714件」&「Like 910件」という数字。

さらにこのTweetに対しては、以下のようなブログも多くの方々に読まれています。

→「クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある?

Tweetと例示したブログ内容を簡単に言えば、要点としてはこんなところでしょうか。

  • 「ネット上の仕事で稼ぐのって難しいんだね」
  • 「サービス提供側も厳しめじゃない?」
  • 「結局は正社員最強か」

クラウドワークスの登録80万人のうち、20万円以上の稼ぎがあるのは111名。確かに数字を見れば、こういう声が出るのも分かります。また、クラウドソーシングについては盛り上がりを反映するような記事も各所に見られるので、印象値として「もっと、みんな稼げていると思った」と感じるのかもしれません。ちなみに今回はクラウドワークスが取り上げられていますが、同サービスに限った話ではないでしょう。

が、これで「在宅では生きていけない」というのは誤解があるし、何より夢がありません。ということで、早い段階からクラウドソーシングを利用し、なんとかフリーランスとして生きている身として、ちょっとだけ個人的な意見を述べようと思ったわけです。へなちょこフリーランスの戯言ですが、良かったら読んでいってください。

■1サービスに依存するフリーランスは少ない

このデータは、あくまでクラウドワークス内での稼ぎに限った話。本当のところは分かりませんが、恐らくクラウドワークスの登録者には、「他サービス、あるいは企業からの直接依頼も合わせて受けている方」が多いでしょう。

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フリーランスは不安定ですし、自分の身は自分で守らなければなりません。たとえ年収ベースで一定水準あっても、月単位・週単位では波があるでしょう。それは、私たちフリーランス自身が誰よりも理解していること。そのリスクを踏まえ、クラウドワークスはじめ1サービスのみに依存して稼ごうと考えているフリーランスは、極めて稀少なはず。むしろ、もしそういう考えでフリーランスとして独立する方がいるなら、私は「ちょっと待った」と声をかけたいところです。

実際、私もクラウドソーシングサイトは複数登録していますし、そのうえで企業からの直接依頼も受けています。むしろ現在では、クラウドソーシングでの受注額の方が圧倒的に少ない状況。それでも一応は生きていますし、嫁&3人の子どもを養っているわけです。

そのため、今回取り上げられているデータから言えることは、

「1つのクラウドソーシングサービス内だけで稼ぐのって大変だよね」

程度の話に留まるでしょう。この辺り、「1つの場所で働く」という考えから抜け出せないがゆえの誤解な気がします。むしろ私としては、たとえ111名でも“クラウドソーシングだけで生活している”人がいるのは驚くべきことかと。このことを前提として、もう少し掘り下げてみます。

■個人単位に“切り分けられた”仕事が多い

フリーランスが企業のような大規模案件を、1人で受けることは困難です。もちろん、もの凄く長い作業期間を持てるなら話は別ですが、それでは依頼側の仕事が回らないでしょう。そのためクラウドソーシングの依頼は、個人単位に切り分けされたものが多くなります

この辺は依頼側の発注スキルが絡んでくる部分で、正直に言えばまだ発展途上。フリーランスへの依頼については、まだまだリテラシーが低いなと感じます。実際、私も個人あるいは経営法人でさまざまな依頼を受ける中、

「こういう仕事を頼みたいんだけど、どう発注したら良いかな?」

「複数名に依頼して早めに進めたいんだけど、どうすればいい?」

「どうすれば、このスケジュールで想定する納品物が獲得できる?」

なんて相談を受けることもしばしば。フリーランスへの発注・管理におけるディレクター的なポジションの不足を感じつつ、その役割を私が担っています。フリーランス活用にお困りの方は、いつでもご相談ください(ちょっと営業)。

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ちょっと話が逸れましたが、“切り分けられる”ということは、つまり1人単位で見た仕事量およびそれに伴う報酬額は下がるということ。ライティングの仕事は非常に分かりやすいのですが、

「100記事を期日までに揃えたいけど、1人じゃ無理だから10名×10記事で分散発注しよう」

といった流れになるわけです。例えば総額が100万円なら1人当たりは10万円。それでも前述の通りフリーランスは他でも仕事を受けているので、単価等が見合えば問題なく受注します。

ここで、完全に体が空いた状態なら、2〜3名分(上記なら20〜30記事)を受けてしまうことだってあるでしょう。しかし多方面から仕事を受けている場合、そんな状況は稀少。というか、稀でなければ困ってしまいます。そのため、結果的に“クラウドソーシング内で受けている仕事”は限られ、同サービス限定で見た月収は高くなりません。

ちなみに、

「個人への発注では、企業への発注より依頼額が下がっている」

というのも、誤りではないでしょう。企業は組織として売上・利益をあげなければならず、個人より何かとお金が掛かるもの。単価面だけで張り合えば、個人に軍配が上がるケースは多いはずです。むしろ“費用に柔軟である”ことはフリーランスにとって“武器”のひとつ。たとえ単価が低くても、ちょうどスケジュールが空いていたり、あるいはスキルアップなど自分のためになるならば受けるというフリーランスは少なくありません。その辺は、フリーランス個人のさじ加減です(これを誤ってしまう方も多いですが…)。あとはフリーランスor法人でメリット・デメリットを考え、総合的に判断して発注先が決定されていきます。

ここで、少しフリーランスのデメリットに触れておきます。法人に一括依頼できるなら、その進行管理は依頼先に任せられるかもしれません。しかしフリーランスの場合には“個人単位に切り分けて”依頼するので、その管理については依頼側が行う必要が生じます。

  • 進行状況はどうなっているのか
  • 個人によってクオリティに差は出ていないか
  • そもそも依頼内容はちゃんと伝わっているのか

などなど。特に初めてフリーランスへ依頼する場合、不安は尽きないことでしょう。ライティングでは「対応者によって記事クオリティが違う」という話が良くありますし、職種に限らず「納期直前で音信不通になった」などのトラブルも聞きます。その辺のリスクについては、依頼側があらかじめ認識しておきたいところです。