いいでしょ?僕の人生

フリーランスが会社員のメリットを考えてみる


働き方が多様化する中、フリーランスやパラレルワークなどがスポットを浴びています。同時に、社会的地位や補償等の課題が取り上げられ、世の中は「フリーランスでも会社員と同じように安心できる社会を」的な方向に動いているようです。フリーランスとして働く身としては嬉しい半面、本当に“護られる”ことが必要なのか…という疑問があるのですが、もう1つズレを感じることがありブログに書いてみます。

時間や場所にとらわれない…その他は?

私は大学在学中にベンチャー企業でインターンシップを経験し、卒業後はまた別の企業で会社員を経験しました。一度転職して計2社での会社員を経て、7年半前に独立しています。結果的に私にとって今の働き方がベストなわけですが、だからといって会社員に否定的ではないし、誰にでも独立を勧めようとは思いません。

時間や場所にとらわれない“自由な”働き方。フリーランスを表現する際、そんな言葉がよく用いられます。実際、私自身も時間や場所を自由にコントロールしながら働いていて、だからこそ今のライフスタイルが確立できているのは事実です。しかしだからといって、会社員は不自由なのでしょうか?

定時勤務の環境なら、例えば8〜17時といったように企業で働く拘束時間が伴います。その間は仕事に従事していなければならず、在宅にせよ社内にせよ、働く場所も決められているでしょう。しかし中にはフレックス制を導入したり、裁量労働で出社義務なしなんていう環境もあります。私も会社員時代、転職先の会社はフレックス制でした。また、働く場所にしても在宅勤務を導入したり、出社だとしても社内に保育所を設けたりと、自由度は増しています。それこそ時流に則した企業努力なのでしょうが、これを不自由とは感じないはずです。

また、たとえ時間や場所が自由になったとして、他に不自由があればどうでしょう。例えば仕事が獲得しにくい、人との繋がりを得にくい、失敗できない、規模の大きなプロジェクトに関わりにくいなど。フリーランスだからこそ感じやすい不自由というものも、実は少なくありません。一方で企業であれば、以下のようなメリットがあると思います。

  • 失敗しても最後は会社が責任を取ってくれる
  • 成果にかかわらず一定の給与を得られる
  • 会社の予算でさまざまなプロジェクトに関われるチャンスがある
  • 会社の予算で学習や経験の機会を与えてもらえる
  • 社内外で人との繋がりを広げやすい など

自らが求めれば、それを叶えてくれる環境を持つ企業は山ほどあるはず。それが“自分次第”であることは、フリーランスも会社員も変わりません。そして上記のように、逆にフリーランスでは実現しにくい自由があることを、今一度しっかり認識すべきだと思うのです。

昨今は「フリーランス=自由」というイメージが先行し過ぎていて、こうした現実が曇っている気がします。もちろん勤務先によって違いはあるものの、本当に苦しむほど不自由を強いられる会社なんていうものは、いわゆるブラック企業だけではないでしょうか。むしろ独立したことで不自由を感じ、自らブラック化しているフリーランスはたくさんいます。思うように仕事が獲得できず、当初イメージしていたような“やりたい仕事”ではなく、好きでもない仕事ばかりに追われて疲弊しきっている…身の覚えのある方は多いはずです。

ちなみに私は今でも、現在のライフスタイルを変えることなく同水準の収入を得て働けるのであれば、形態は会社員でも一向に構わないと思っています。フリーランスとは1つの働き方に過ぎず、そこに独自のメリットはありつつも、会社員と比べてそれほど抜きん出て素晴らしいものではないからです。

どんな仕事・人生を選ぶのか

結局のところ、どんな仕事がしたいのか。例えば大規模なスケール感の仕事を経験していきたいのなら、個人より法人に属した方が可能性は高いはずです。個人でも決して不可能とは言えませんが、難易度は比べるまでもないでしょう。

また収入についても、安定性だけでなく多くを稼げる環境は企業にもたくさんあります。例えば年収1,000万円を稼ぐ会社員が一部なのだとして、割合でみたとき、フリーランスと比べてどちらが多いのか。あくまで感覚値ですが、恐らく会社員だと思います。「自分の実力でしっかり稼ぎたい」という気持ちから独立する方がいますが、ここで“稼ぐ”ことがメインなのであれば、独立という選択はちょっと違うかもしれません。

もちろん、独立すればこそ得られるもの、できる経験もたくさんあるでしょう。私も今現在のワーク&ライフスタイルは、まだまだ会社員で実現できるものではないと思います。学校行事にすべて参加したり、少し手が空いたからと即座に子どもと公園へ遊びに出たり。あるいは、本当に自分が「やりたい」と思った仕事だけに取り組むというのも、やはりフリーランスだから実現できていることなのでしょう。しかしその反面、何が起きても自己責任ですから、常に大きな覚悟を持って取り組んでいます。大家族フリーランスとしては、その覚悟も一入です。

人生全体をイメージしたときに、どんな働き方が合っているのか。これは時間と共に変わっていく部分もあるでしょう。そうしたとき価値観についても柔軟性を持ち、働き方を選択していけること。それが、働き方の多様化する現代社会において、実のところ非常に大切なことなのだと思えてなりません。各種メディア等が発信する“良し悪し”に左右されず、自分軸を持って自らの幸せな未来を切り拓いていきたいものです。